寒かったけれど、いいお天気でした。年明け、「急ぎ」の件を進めているので引きこもり。「寒かったけれど…」はあまり実感していません。17:30の気温マイナス5℃。標高200mを超えるところに住んでいるので、市内中心部より約2℃ほど気温は低いです。
カラマツ(
Larix kaempferi)とグイマツ(
L. gmelinii var.
japonica)の球果比較です。
長年宿題としていたカラマツ属2種の球果比較、ようやくできました。「カラマツとグイマツの識別がわからないのですが」。ずいぶん以前のことになりますが北大の先生に伺ったところ、「なかなかね。球果じゃないとわからないんだよ。カラマツの果鱗は反り返るが、グイマツは反り返らない。」との答えをいただいていました。
左がカラマツ、右がグイマツです。反り返る、反り返らない、ということがわかるでしょうか?
カラマツはもともとは長野県産で、明治時代、北海道に造林のため持ち込まれたものです。富士の裾野の青木ヶ原、長野県の浅間や八ヶ岳山麓などが自生地です。
これに対してグイマツは、もともと北海道に生育していた樹種です。ただし、今から5000年ほど前のことになりますが。グイマツは、現在は千島列島のエトロフ島・クナシリ島やサハリン、シベリア東部からカムチャッカにかけて自生しています。北海道では最終氷期が終わり温暖化していく過程で各地に分布しましたが、5000〜3000年ほど前に暖かい地方から北上してきたほかの樹種に置き換わられ、現在では自生していません。ケショウヤナギ(Salix arbutifolia)のように氷河遺存種にはなれなかったのですね。現在ある個体は基本的には試験的に植栽されたものと考えてよいでしょう。単木的に植えられたものは枝が水平に張り出すので、カラマツと見分けがつくかな、と思うこともあります。めったにないですけど…。
2023/01/01・2022/10/27
〔参考文献〕
上原敬二,1961,樹木大図説1,1309pp,有明書房
辻井達一,1995,日本の樹木 都市化社会の生態誌,296pp,中公新書,中央公論社
小野有五・五十嵐八枝子,北海道の自然史 氷期の森林を旅する,219pp,1991,北海道大学図書刊行会
posted by Satoshi SONDA@ARCS at 17:41|
Comment(0)
|
Fruit